大きな変化を
本日は税理士会で研修がありました。令和元年の研修 と講師の方が話されていました。新たな時代の響きです。
新たな時代といえば、21世紀を迎えた日のことを思い出します。税理士試験に合格し税理士登録した年でした。2000年のカウントダウンを、故郷鹿児島の天文館で迎えたことを思い出しました。懐かしい。
働き方改革への取り組みが、連日紙面でとりあげられています。働き方改革の目的の本質は財源確保ですが、これを知っている人は意外に少ない。早く仕事を終わらせ、早く帰ることにより労働生産性を上げる、時給が上がる、ということを最終目的としてとらえている人が多いです。生産年齢人口の減少による税収不足を補うことが最終目的であって、仕事を早く終わらせること は中間目標と言えます。
また、早く仕事を終わらせ、家庭での時間を大切にする、さらに妻も働けばより夫の仕事を理解できる、すると夫婦円満になり出生率があがる(先例があります)という側面から、多様な働き方が推奨されるといわれています(多様な働き方の推奨理由はこれだけではないですが)。これもほとんどの人が知りません。
もちろん私は働き方改革には賛成です。労働について社内で全般的に見直すことになりますし(経営改革になりますし)、日本人の理想的な働き方について考えることにつながります。
しかし、そこまでの議論でいいのかどうか。
先日ある週刊誌に評論家の方が「出生率を増やせば将来余剰人口になる、これは問題だ。日本の人口は多すぎる、人口が減れば給与は上がる。AIやロボットが進歩すれば、今増やした人口は将来余剰となるのではないか」と書かれていましたが、一理あると思いました。
ただ現在、人材不足は深刻な状況になっています。税理士業界も例外ではありません。景気が良すぎるのも考え物だという話すら聞こえます。
以上のような話を聞いていると、何を優先させればいいのかわからなくなります。
経理のシステムがほぼ自動化されるようになれば、会計業界の人手不足を補い、結果、コアな仕事をしている会計社員の人件費が増えることが予想できます。ドローンが空を飛んで宅配してくれたら、流通業界の社員の人件費も同様に増えるでしょう。このように業務のAI化等で人手不足は解消され、人件費が増えることが予想できます。
こんな話もありました。
社会保障費の削減や税収確保の大切さが言われているが、これ以上の削減をやめ、政府の借金を増やしてなんとか高齢化時代を乗り切る、そのうちAIやロボットの時代になり、GDPも増えて、税収も増え、借金を返せるのではないか。そんなシナリオで将来予測をたて検証してみたらどうか。
そんな考えもあるのかと思いました。
(でも、多分ここまで述べたようなことは、すでに研究済で、様々な議論を経た上で、現在の政策が行われているのではないかと思います)。
いずれにしても働き方改革を行い、同時に、AIやロボットを研究することが不可欠だと考えます。人口を増やせばいいだけではない。現在の日本人の労働生産性は世界の中では決して高くないわけですから、労働生産性を増やす努力には大いに意味があります。ただ、マンパワーで早く仕事を終わらせ、生産性をあげる方法には限界があります。これで自らの労働生産性が上がったと感じ、満足できる働き方になるのでしょうか。人間以外の何かに助けてもらい、これまでより、働いた割に報われていると感じることができる世の中が訪れればいい。
世界の人口は増え続けており、地球の資源が年々、より多くの人たちに費消されているわけですから、一人当たりに分配される資源=一人当たり収入も少なくなっていく。視野を広くして地球規模でみると、増え続けている高齢者を、いかに人口が増加しているとはいえ、1人あたり収入の少ない人たちで賄うのは大変になっている、そんな状態になっている気がします(実際のところどうなのでしょうか)。
そうなるとここはAIやロボットに登場してもらわなければなりません。この場合、AIやロボットに費やす地球の資源が(研究コストも含めて)、ヒト一人当たりのコストより少なくなければならないのではないか。AIやロボットの年間コストが、人件費より少なくなければならない。そうでないと人がロボットに変わっただけであり、コストは変わらず、労働生産性はあがらない。また、AIやロボットに対して課税する新たな税の仕組みを考えないと、税収増加にはつながらない。
今から6年ほど前、これから大きな時代の変化が進むと多くの人に話しましたが、反応はいま一つでした。現在、世界そして日本は大きな変革期を迎えている、これには疑いの余地はありません。
ちなみに、外国人労働者の雇用も時代の流れです。日本は「少子高齢化」を本格的に迎え、これまでより、世界(あるいは地球全体)を視野に入れ、進む方向を決定していかなければならない。
そんなことを最近考えています。